同心協力
~巻き起こせ、新たな風~
一般社団法人三島青年会議所
第64第理事長 押尾 直樹
「はじめに」
三島青年会議所は、長年にわたり三島市及びその周辺地域において、課題解決に貢献する
運動を展開してきました。その歩みは決して平坦なものではなく、多くの困難があったことと思います。先輩諸兄姉は「明るい豊かな社会の実現」という壮大で不変な理念に基づき、挑戦を続けてきました。青年がまちづくりの場で学び、地域課題の解決に取り組み続けることは、三島青年会議所の存在意義そのものであり、今後もその使命を果たし続ける必要があります。現代は、リモートワーク等の IT化、労働人口の減少による技能実習生の受け入れ、企業のグローバル化など、ダイバーシティが推進されています。この変化は、働き方や、ライフスタイルの多様化に繋がり、様々な視点や考え方を受け入れる柔軟性が求められています。三島青年会議所は、地域の未来を担う者としてリーダーシップを発揮し、JC 宣言に掲げる持続可能なまちづくりの実現を、メンバー一人ひとりが自身の役割を自覚し、高い参画意識を持ちながら目指すことで、先輩諸兄姉が築いた基盤を大切に守りつつ、地域社会に新たな風を巻き起こす存在となります。これからも私たちは、仲間と力を合わせ、地域の発展と共に成長し、「明るい豊かな社会の実現」という未来を共に描いていく決意を新たに邁進してまいります。
「協力で生まれる組織の力」全委員会統一事項
三島青年会議所は、各委員会の活発な取り組みを通じて、その真の価値を発揮し、人々を魅了する運動を展開することができます。その実現には、メンバー一人ひとりが知恵や個性を活かし、高い参画意識を持ちながら活動することが必要です。私が委員長を務めていた時、急な不幸で事業当日に参加できなかった際、メンバーの一人が「僕たちに任せてください」と力強く言ってくれました。それは、この事業の計画段階から議論を重ね皆で作り上げた事業だったからだと考えます。参画意識を高める環境が、他者を巻き込む力を育む重要な場であることを実感させられました。私たちの行動綱領である「JC 三信条」の「修練」「奉仕」「友情」は、青年会議所設立以来脈々と受け継がれてきました。中でも「修練」は自己啓発を意味し、私たちの活動の基盤であり第一歩です。この「修練」を通じて得られる力は、自己成長に留まらず、その姿が他者に共感を生み、仲間を巻き込み共に成果を上げるための原動力となります。「修練なくして奉仕なし、奉仕なくして友情なし」という教えを通じて、私たちは率先して参画する姿勢の重要性を学んできました。この姿勢が組織全体の一体感を生み出し、共通の目標に向かう推進力となります。そして、この推進力をより一層強化するためには、全てのメンバーが主体的に関わり、全員が力を合わせることが必要です。三島青年会議所は昨年、全員拡大を第一の目標に掲げ拡大活動を行い、会員数を純増させました。会員拡大を進める中で、多様な価値観を持つ新しい仲間を受け入れることは、私たちの組織をさらに成長させました。このことから、全員拡大の意識を絶やすことなく継続していく事
が不可欠です。私たちがこの歩みを続ける限り、三島青年会議所の組織基盤は揺るぎないものとなります。
「伝統の継承と進化する組織づくり」
働き方や日々の暮らしが刻一刻と変化していく現代において、「ワークライフバランス」という言葉が注目されています。プライベート、仕事、そして青年会議所活動を充実させるためには、限られた時間を有効活用し、全てにおいて質の高い成果を追求することが求められます。総務・財務に関する業務は、どのような組織においても中心的な役割を担う重要な存在です。そこで、三島青年会議所では、私たちの運動の基盤となる会議体を支える委員会として、メンバーが意見を交わしやすい環境を整え、情報を身近に感じられる仕組みを築きます。これにより、より活発で創造的な議論が行われ、メンバー同士のコミュニケーションが一層円滑になり、一人ひとりの参画意識が向上し、三島青年会議所はさらなる成長を遂げることができます。そして、100名を目指す組織として、先輩方から受け継いだ基盤を活かしながら、時代に即した効果的で効率的な仕組みへとアップデートを進めてまいります。また、三島青年会議所の未来を描く中長期ビジョンの策定から本年度で 5 年が経過し、この間の活動は新たな挑戦と学びの連続でした。新型コロナウイルス感染症による影響を乗り越え、限られた条件の中で工夫を凝らして会議や事業を実施してきたことは、組織の可能性を広げる大きな機会となりました。これまでの経験を振り返り、未来に向けたロードマップをさらに実効性の高いものに進化させるため、次代のリーダーたちの意見を積極的に取り入れてまいります。「英知」「勇気」「情熱」という青年としての精神を胸に、良き伝統を大切にしながらも、常に新しい挑戦に取り組む三島青年会議所が、これからも地域と共に成長し、未来に希望を届ける組織運営を展開してまいります。
「未来を生き抜く人づくり」
子どもたちは、情報化社会の中で多くの知識を簡単に得られる環境で育っています。しかし、地域社会との関わりや直接的な体験を通じた学びの機会が減少していることが懸念されています。子どもたちが実際に地域社会と触れ合い、そこから得られる体験を通じて、自ら考え、行動し、他者と協力する力といった「生きる力」を養うことが必要です。単なる知識の習得にとどまらず、実体験を通して、幸せに生きるために必要なことを学ぶ力が、未来を切り開く鍵となります。三島青年会議所は、学校では得られない体験の場を提供し、子どもたちの自主性を育む機会を創出します。また、子どもたちの体力低下が進んでいることが一つの大きな問題となっており、運動習慣を持たない子どもが増加しています。このままで__は、身体的な健康だけでなく、スポーツを70 通してでしか得られない挑戦する力や、困難を乗り越える力を育む機会が減少してしまいます。三島青年会議所が、継続事業として開催して
72 いるわんぱく相撲を通じた挑戦の場は、子どもたちが体力を鍛えるだけでなく、自分の限界に挑み、困難を乗り越える経験を得る機会です。わんぱく相撲における「勇気」「礼節」「感謝」の精神を学ぶ中で、相手を尊重し、自らの行動に責任を持つ姿勢が培われます。また、土俵の上で全力を尽くして戦うことで、挑戦することの意義や達成感を学び、それらが自己肯定感を醸成します。地域社会とのつながりの中で得られる豊かな実体験が、子どもたちの成長を支え、変化し続ける社会で自信を持って生き抜く力を育む運動を展開してまいります。
「共に未来を創る仲間づくり」
青年会議所は、20〜40 歳という限られた活動期間があるため、必然的に新陳代謝が起こる組織です。その短い期間の中で、各メンバーは地域への想いを込めて活動し、自らも成長していきます。その結果、生まれた想いは次世代へと受け継がれ、伝統として継承されます。この連鎖が、世代を超えた一生の仲間との出会いを生み出すのです。では、人はどのような場に集まるのでしょうか。それは、「楽しい」や「好き」と感じられる場であると私は考えます。活動の楽しさに魅力を感じたメンバーが事業に参画することで、その中で価値を見出し、やがては「愉しい」と心から感じてもらえるようになることが重要です。これこそが、メンバー一人ひとりの成長と組織の発展につながる原動力となります。私たちは、友情の連 鎖を途絶えさせないために、まずメンバー同士の交流を重視します。交流を通じて互いを深 く理解し合うことで、強い絆と信頼の基盤が形成されます。この信頼を基に、メンバーが積 極的に意見を交換し、新たなアイデアを生み出すことで、組織全体が活性化します。そして、 こうした積極的な交流と新しい風が、未来を支えるより確かな基盤を築いていくのです。さ らに、会員数の減少や在籍期間の短期化は、会議所として多様な意見を得にくく、組織の弱 体化を招く恐れがあり、青年会議所全体の大きな課題です。三島青年会議所は昨年、会員数 を純増させましたが、会員の減少は、依然として大きな課題の一つとして捉えるべきです。 私たちは、愉しいと感じる組織をより多くの人に伝え、多様な人財の絆をつくる場として、 100 名規模の組織を目指します。また、東部 9LOM が地域の発展と組織の成長を実現するために、会員拡大という共通課題に真摯に取り組むことが重要です。地域の若者を積極的に巻き込み、新たな視点やエネルギーを取り入れることで、組織の活力を高め、地域への影響力を強化します。私たち青年世代が、多様な仲間と手を取り合い、共感をもって活動に取り組む「仲間づくり」を展開してまいります。
「地域のためのまちづくり」
三島市周辺地域は、長い歴史と豊かな自然に恵まれた地域です。この地域は古くから水資 源に恵まれた土地として発展し、多くの人々に愛されてきました。地域で開催される事業や資源の活用は、先輩諸兄姉が立ち上げた運動106 を契機として始まり、今もなお、地域の皆様の尽力によって受け継がれています。それは、私たちが地域と向き合い、真摯にまちを想い取り組んできたからです。近年、三島市周辺地域は「伊豆の玄関口」としての役割を一層強め、交通インフラの整備や都市機能の発展により、多くの観光客や移住者を迎え入れる地域へと進化しています。さらに、富士山、箱根、伊豆を結ぶハブとして、インバウンド需要の拡大が期待されています。一方で、観光だけでなく、地域に関わる人々が移住や二拠点居住を通じて関係人口としてつながりを深めることで、「まち」に活気をもたらします。私たちは、地域の豊かな伝統や資源を大切にしつつ、時代の変化に対応した取り組みを進めていくことが求められています。そのためには、地域が抱える課題を調査・研究し、解決に向けた具体的な運動を展開することが必要です。また、地域を訪れる人々や、関係人口を含む三島市周辺地域の発展を願う方々と協働することで、地域の未来をより良いものへと育んでいくことができます。また、私たちは「まちづくり」の団体として、一人ひとりがまちに対する考えを持ち、想いを語る場の提供が大切です。私たち青年が、この変革の時期にこそ地域に寄り添い、地域の未来を共創していくための行動を起こし、より良い「まち」へと進化する運動を展開してまいります。
「おわりに」
私は、入会してからの活動を通じて、ある一曲の歌詞を思い起こしました。それは、学生時代に熱中していたアーティスト 19の「すべてへ」という曲の一節で、「風が吹かないそんな場所でも、ぼくたちが走るなら感じることが出来る。吹くだろう風、なんて待つなよ、無いものをなげくよりつくればいい風だって」というフレーズです。この歌詞を改めて思い返したとき、私たちが創り上げるべき運動とは、誰かに任せるのではなく、私たち自身が常に変化する地域課題に向き合い、その解決に向けて自ら行動を起こすことが、JAYCEE としての使命であると確信しました。私は接客業を営んでおり、移住者であることから知り合いは多くいましたが、仲間と呼べる存在は決して多くありませんでした。私の青年会議所での活動は、「1 年間すべての活動に参加します」と宣言したことから始まりました。皆さんの前で宣言した以上、実行しなければならないと決意し、その軽い決断が私の人生における変革の起点となりました。積極的な活動参加を続ける中で、苦楽を共にする「仲間」と出会うことができました。その過程で、多くの仲間に支えられ、やがて青年会議所での活動は私の生活の一部となりました。その時に私が仲間たちに抱いた感情は、これまでに感じたことのないほど大きな感謝でした。この感謝の気持ちを、三島青年会議所に恩返しするため、私は大きな覚悟を決めました。それは、自ら主体的に行動し、先頭に立って同志を導くことです。私たちの使命は、63 年にわたり継承されてきた先輩諸兄姉の想いと伝統を守りながら、三島市周辺地域を「明るい豊かな社会」の実現へと導くことです。しかし、私が考える継承とは、ただ受け継ぐだけではなく、常により良いモノに「進化」し続けることだと考えます。この使命を全うするため、一人ひとりが高い参画意識を持って活動し、共に新たな風を巻き起こしてまいりましょう。
一般社団法人 三島青年会議所
2024年度理事長 鈴木 勇樹
未来永劫
~想いをつないで未来を創ろう~
1. はじめに
終戦から僅か4年を経た1949年、戦後の混乱した状況の中で、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という強い想いを抱いた青年たちによって、日本経済の発展に貢献する団体として日本の青年会議所は誕生しました。当初、僅か30人あまりで始めた組織は時代の変化とともに各地域に広まり、1962年に217番目のLOMとして三島青年会議所が設立されました。そして2024年、63年目を迎えることができるのも、ひとえに、私たちに想いのバトンを弛むことなくお渡ししていただいた先輩諸兄姉のご尽力と、日ごろより私たちの運動に対してご理解とご支援、ご協力をいただいている行政並びに関係諸団体、地域住民の皆様のお陰であると、心から敬意と感謝の念に絶えません。この62年間の歩みの中で、多くの成功と苦労、そして試練があったと思います。近年ではパンデミックが発生し、時代の変化に即した体制づくりと運動が求められました。その都度、私たちは原点に立ち返り、使命を胸に着実な運動を積み重ねてきました。しかし、昨年、三島青年会議所を揺るがす憂慮すべき事態が発生しました。それは、これまで長年に渡り築き上げてきたものが一瞬にして瓦解されたような衝撃であり、私自身、悲憤に満ちた気持ちとなりました。私たちの自己満足的な判断ではなく、果たして、「地域の皆様が本当に三島青年会議所を必要としているのか。」この疑問に向き合うべく、皆様の率直な声をお聞きするため関係各所に訪問させていただきました。訪問した地域の人びとの言葉として、JCが発起した運動が人びとに必要とされ、今でも輝き続けていること、そして、先輩諸兄姉をはじめとしたメンバーがJCの経験を活かしてあらゆる場面でリーダーシップを発揮し、人びとを牽引していること、さらに、災害時には、JCが迅速に現場に駆けつけ、被災者の皆様を支援できたことなどのお話しいただく機会を得ることができました。それらが、この62年間における運動の成果であり、積み重ねであったと感じ、それこそが三島青年会議所そのものであり、“一つの結晶体”として地域から高い評価をいただいていると感じ入りました。多くの訪問先で掛けていただいた温かいお言葉を受けて、私は事態に対する罪悪感に似た感情を抱きながらも、先輩諸兄姉の築き上げられた輝かしい信用に、今でも守り支えられていることを知ることと同時に、私たちの運動が地域の皆様から期待されていることを再確認することができました。
私は、皆様から受けたご恩をお返しするために、将来の65年目、100年目、未来永劫に絶えず想いをつなぎ、運動の最大化を目指し、力強く発展させていく決意をもって誓い申し上げます。そのためには、メンバーが本来のJCが持つ目的を深く理解し、伝統と革新の融合で、地域の未来を見据えた独創的な価値と機会を提供し続ける必要があります。このような逆境でも貫く信念を持ち、私たちが目指す「明るい豊かな社会の実現」に向けてメンバーとともに全力をもって邁進してまいります。
2. 会員拡大と共感の波及が創る未来“全委員会統一事項”
三島青年会議所の目的は社会開発と定款に定められています。私たちはこれまで、まちを想い、大胆な運動を掲げ挑戦し、その大きな機会を通じて自らの成長につなげてまいりました。そして、今後も時代の変化に先駆ける組織として新たな輝かしいリーダーを育成するためには、組織の未来の扉を開ける鍵をもつ新入会員を積極的に迎え入れる必要があります。志を共にする新入会員を増やすために重要なことは、私たちの想いが運動や活動の一つひとつの行動に現れ、それが青年の琴線に触れることで得られる共感です。この共感から生まれた想いこそが、リーダーシップの光源になると確信しています。また、活動の中で新入会員やオブサーバーの発想を尊重する意識を常に心掛け、一つひとつの役割を丁寧に提供し、参画した実体験によって、私たちのリーダーシップの素晴らしさが伝わり共感の輪が広がっていきます。そして、会員拡大の最速化を図ることが大切です。それは、各委員会や各事業が単体としてではなく連携して取り組むことで実現されます。この連携の中で必要不可欠なのはメンバーが一丸となることです。次世代のリーダーとなる新入会員を積極的に迎え入れることで、組織に新たな風が吹き込まれ、新たな発想によってさらなる価値を創造すると同時に、リーダーたちが齎す共感の好循環を創出してまいります。
3. 未来を創る人財開発
全国のメンバーの平均在籍年数は3.5年という中、近年のパンデミックの影響で約3年もの間、対面での運動やコミュニケーション、JCについて理解を深める機会が減少しています。これは会員開発と会員拡大の両面で、大きな打撃であると考えます。これまでは、対面による例会や委員会、懇親会などの交流を通じて、JCの歴史、社会的な役割、あるべき姿などを関わる方々から伝え知ることができ、これにより、多くの仲間が増える仕組みがありました。このような機会は、仲間との信頼関係や組織の理解を深めるだけでなく、相互理解を確認し、JCの未来を描く場でもありました。今、インパクトのある効果的な運動を展開し、問題解決に向けた成果をあげ、市民からの共感を得るために必要なことは、私たちの組織や運動について、メンバーの誰もが組織の価値を理解し、明確に説明できる基盤を構築することです。これによって、組織に対する共感が生まれ、私たちの社会的な役割が明確になり、組織価値の向上につながります。また、多くの交流を通じて、会員同士の友情を深めることも重要です。事業を築く過程にはさまざまな試練が待ち受け、それらを乗り越えるためには多くの仲間の協力が必要不可欠です。この試練を乗り越えた後、絆がより深まり、これがその後の運動をさらに向上させる起爆剤となります。私たちは、多くの青年世代の方に意識変革を促し、まちを想い、未来を創造する仲間づくりをすることにより、どの時代でも揺るぎない組織体制を築き、持続的な会員開発が実現できるよう活動してまいります。
4. 世界とのつながりで未来を創る
パンデミック発生の影響で停滞していた人びとの動きは、少しずつ日常に戻りつつあります。その間に急速に普及したIT技術の活用は人びとの交流を革新的に進歩させました。これによって、世界は身近なものとなり、このまちにもつながりを活かす機運が高まっています。また、グローバル化が進んでから約30年が経ち、世界を魅了するさまざまな文化や資源を有する三島市周辺地域にも多くのインバウンドが訪れました。それは、私たちも同様に世界の文化や資源に惹かれる要素があることを示しています。一方で、地域における問題や課題も互いに関連する部分があり、それが一つに結びついて、国際の諸問題へとつながっているのも事実です。JCは世界的な組織です。その規模を活用し、メンバーや参加者に、世界の人びととのつながりを広げる機会を提供することができます。世界の人びととの交流を通じて、問題や課題を探求し、解決策を見つけ出し、共有することで持続的な運動の発端になると考えます。また、国際交流の機会を通じて、将来の主要な技術などの活用に向けた取り組みを行うことで、三島市周辺地域にイノベーションを齎す契機となり、新しいまちづくりの創造につながると考えます。これにより、参加者の視野が広がり、思考や行動の質が変化することで、組織だけでなく、地域に対してもより良い変化を齎すことができます。私たちは、国際的な機会を地域へ提供し、まちの未来を創ってまいります。
そして、私たちの想いは、子どもたちの心をより良い方向に導くことです。子どもたちが周りの人たちを大切にし、まちを愛する力を育むことが必要です。私たちは、子どもたちがいつの日か大人になり、住むまちを愛することが未来に希望を託す運動となるよう創造し展開してまいります。
5. 子どもたちの未来を創る
子どもたちには、相撲というスポーツを通じて礼節を学び、努力や思いやりなどの社会生活に必要な徳性を養う場を提供しています。そして、幼少期の経験はずっと心に残る思い出となり、大人になっても忘れることはありません。勇気を出して参加する子どもたちに、応援の輪を広げ、会場全体が一体となり、子どもたちにとって生涯に残る素晴らしい思い出の機会を提供する必要があります。わんぱく相撲は、小学生を対象にした大会で、各地のLOM(200地区)の予選大会からスタートし、県大会、全国大会まで進むことができます。出場選手は約40,000人に及び、小学生向けの相撲大会としては、最も規模の大きな大会です。本年度は、三島青年会議所が県大会を主管するにあたり、各地から集まる参加者の皆様には、子どもたちの輝かしい姿をご覧いただくとともに、開催地である三島市周辺地域の魅力も知っていただきたいと考えています。わんぱく相撲は、保護者や関係諸団体からも期待されており、地域社会においてもJCの主要な事業の一つとなっています。今後もさらなる定着に向けて尽力してまいります。
6.まちのビジネスが創る未来
近年の地域経済を考えると、パンデミックの影響によって大きな損害を受け、ロシアとウクライナの戦争を発端に物価の高騰なども起こり、経済的な影響を受けました。さらに、政府からの救済策として行われたゼロゼロ融資の返済が始まり、アフターコロナ時代でも予断を許さない状況が続いています。このような状況では、企業の衰退だけではなく地域の景気に不透明感が漂い続け、住民が経済的に安心して生活できなくなるおそれがあります。したがって、まちの発展を目指すJCと、企業や個人の欲求を結びつける運動を展開する機運が高まっていると捉えています。私は、JCが持つネットワークを最大限に活用し、多くの方々とつながりを増やし、ビジネスの機会を創出する場を提供する必要があると考えます。また、ビジネスに関する新しい情報が共有される場を提供することで、人脈を広げ、仕事を与え合うだけではなく、地域に新たなビジネスの可能性をもたらす機会を創出することも重要です。そして、このような機会を一時的なものではなく、継続的に提供できる仕組みづくりを進め、地域経済の発展に向けた協働関係を構築することが、持続可能で好循環な地域経済づくりに重要な貢献になります。青年経済人が多く集まるJCが果敢に行動を起こし、地域におけるビジネス活性化を推進してまいります。
7. 組織運営の進展が創る未来
総務と財政に関わる担いは三島青年会議所の中でも重要な役割を果たしていると認識されている反面で、黒子役のように補助的なイメージもあるかもしれません。私は組織運営がJCの使命を具現化する起点になると考えています。なぜなら、議案や資料に書かれる一文字一文字、一文一文が私たちの運動そのものを表現しているからです。また、お金の管理や会議を運営し、理事会や総会の場で議論を経て運動を実現するための機会を提供しています。この組織運営が時代に適した形で常に改善されることで、成果の高い事業を生み出すことにつながると確信しています。過去の在り方に留まることなく、より良い組織運営のために新しいアイデアやプロセスの取捨選択を行いながら組織運営の進展に向けて挑戦することが必要です。また、JCでは災害が発生した際に、社会への奉仕を優先することを前提としており、積極的に災害復旧と復興支援の活動を行っています。もしも有事が起きた場合には、迅速に行動できるよう、行政や他の団体と連携し、地域に根ざした活動に取り組んでまいります。
8. 終わりに
私のJC活動は、極めて単純な動機から始まりました。地元は熱海市、職場は伊豆の国市である私は、先輩から勧誘を受け、自身の人脈拡充と仕事につなげるために入会しました。当初は組織に馴染めずあまり活動していませんでしたがメンバーの熱意と声掛けにより徐々に馴染んでいきました。そして、会員減少による組織存続が危ぶまれた2019年度、役職を全うしたことで三島青年会議所への所属意識や一体感を初めて感じることができました。しかし、この時の私は、JC運動の真の価値や意義を理解していないまま、自身の役目のみにフォーカスし、その全うした体験により少し高慢になっていたのです。その後、世界的パンデミックや不測の事態により活動が制限されたことで、JC運動の原点に立ち返る機会を得て、これまでの私の考えは見直されていきました。そして、私たちの存在価値は「まちの発展」であるという結論に行きついたのです。
「明るい豊かな社会の実現」JCが掲げるこの理想を達成した後、私たちの役目は終わるのか。私は、この問いに迷うことなく自信を持って答えます。現代の社会は多様性や持続可能性を重視していますが、この理想の実現に近づくにつれ、それらは理想から目標に変わり、新たな理想が生まれるのです。その都度、私たち三島青年会議所のメンバーは、社会の変化とともに新しい課題や問題に取り組み、真のリーダーシップを示す役割が求められていきます。私もそうであったように、どの時代も一人の青年が成長し続ける場所、それがJCです。JC活動は、真摯に取り組むことで、多くの価値ある経験を得ることができ、成功も失敗も、すべてが私たちの成長の糧となるのです。そして、青年が青年へと、次のステップへ進む力を育む絶好の機会と場を提供することができます。私たちの使命は、JCの価値や存在意義を常に探求し、これからの世代に伝え続けていくことです。この貴重な役割と価値を、永劫的に持続させる強い想いを胸に、共に未来を創ってまいりましょう。