2026年度 理事長所信

本気と感動

一般社団法人三島青年会議所

第65第理事長 原 裕貴

 1. はじめに

1949 年、戦後の混乱の中「新日本の再建は、我々青年の仕事である」と志した数人の青年によって、青年会議所は発足しました。地域から始まった運動は日本中に広がっていき、それぞれの地域で社会のための運動が実施されてきました。戦後から比べ、豊かな国になったのは、先人達の努力の積み重ねであり、多くの困難に立ち向かってきた姿には、尊敬の念に堪えません。しかし、現在は新たな問題に直面しています。長い不景気による経済格差や貧困の問題、世界では未だに紛争が終わらず、考え方やアイデンティティの違いによる分断が後を絶ちません。連日の暗いニュースに、自分一人ではとても太刀打ちできないと無力感と憤りを感じます。それでも先人達が夢見た「明るい豊かな社会」の実現のため、現代に生きる私たちには、何ができるのでしょうか。それは、私たち一人ひとりが、社会の問題や地域の課題を他人事にせず、本気で地域を、国を良くしようと考え行動することです。若い青年である私たちが本気で行動すれば必ず人々の心を動かし、その感動が地域の繋がりや信頼を深め、結果として「明るい豊かな社会」の実現に繋がります。先人達の描いた夢とそれを超える未来を目指し、私たち三島青年会議所は、本気の運動、活動に邁進してまいります。

 

2. 本気と感動の好循環

人が感動し心動かされるのはどんなときでしょうか。オリンピックやワールドカップ等のスポーツの試合、アーティストの曲やライブ、子どもの成長や、人生の節目にかけられる言葉など、様々なことが想像できるでしょう。人が感動し心動かされるときに共通するのは、「本気」に触れたときだと私は思います。チームや国を背負って戦うスポーツ選手、人生をかけて何かを伝えようとするアーティスト、何かに取り組むとき、伝えるとき、その人の本気の熱が、心を動かす感動に繋がります。そしてその感動は、希望や共感、憧れに変化し、私たちの行動を変える力になるのです。裏を返せば、本気でないものに感動はなく、その先の感情にもならないのです。本気で何かに取り組もうとする動機は、人それぞれかもしれません。しかしその多くは、「何か」のためであると考えます。チームのため、国のため、誰かのため、何かのために全力で挑む気持ちが本気の行動になるのです。それはときに、本気だからこその困難や衝突、人との気持ちのすれ違いを生むこともあるでしょう。しかし、それを共に乗り越えることで真の友情が醸成され、更なる推進力になっていくのです。会員同士の交流を促進し、仲間と共にそれぞれの課題に本気で取り組むことで運動は最大化し、関わる方々に感動を届けることができます。そして、そこで感じたものが、次の本気の行動に繋がり、また誰かの心を動かしていくのです。本気と感動の連鎖を生み出すことで、この地域や国を、やがて世界までも変えていけると確信しています。

 

3. 65 周年の三島青年会議所

1961 年の設立から多くの挑戦を続けてきた三島青年会議所は 65 周年を迎えます。創立以来地域の課題解決のため様々な事業を行い、信頼を築いてきました。ここまで延べ 700 人のメンバーが関わり、議論を重ね、友情を育み、縁を繋いできました。これまでの歴史で積み上げた地域との信頼や、これまでの運動と活動、その足跡である議案の一字一句は、三島青年会議所の宝です。しかし、私たち現役世代は、歴史が長いことは知っていてもその内情を知る人が少なくなっているのが現状です。歴史とその足跡を理解し、地域の信頼を繋いでいくためには、65 周年という節目を多くの先輩達と共に祝い、築いてきたものを称え、三島青年会議所の誇りある歴史を再確認することが必要です。そして、これからのビジョンを語ること、先輩達から連綿と受け継がれてきたバトンがしっかりと繋がり、現役の私たちに安心して未来を託せると感じていただくことが大切です。先輩諸兄姉の信頼と期待を得ることが、私たちの大きな自信になり、これからの運動、活動の力になっていくのです。青年会議所は常に未来を創造し、より良い社会にするために運動を起こしてきました。65 年の歴史を称えるのと同時に、未来へ向けて歩みを進めて行かなければなりません。その一歩は、歴史に引っ張られるのではなく、歴史に後押しを受け、かつ今の私たちが本気で考えその方向を決める一歩でなければなりません。地域社会の未来を描き、私たち三島青年会議所が、今後 70 年 100 年とどのような道を歩んでいくのか、未来を見据えた運動が必要です。その歩みの一歩一歩が、これからの三島青年会議所の歴史を作り、地域社会に求められる組織になっていくのです。65 周年という節目を、新たな創造の出発点とし、先輩達の志を受け継ぎながら、未来を形にする運動を展開します。

 

4. 本気のまちづくり

青年会議所の運動は「明るい豊かな社会」を目指して行われます。この明るい豊かな社会とはなにか。明るいとは、そのまま地域の方々が笑顔で生活している様だと考えます。これは、地域社会が安全で安心して生活できることです。そして豊かな社会とは、経済的な物ではなく、文化的な生活だと考えます。春には桜、夏には花火、秋には紅葉、冬には雪を見て、美しいと感じ、季節を感じながら日本らしい文化の中で日々生活していくこと、それが豊かな社会の一つなのです。三島青年会議所は、65 年にわたり地域の課題を提起し、解決のために様々な事業を行ってきました。その中には、私たちの手を離れ、地域の文化として定着したものもあります。それは、先輩達が地域の課題をよく分析し解決のために実施してきた運動の結果です。一方で、地域には、まだ私達が気付いていない課題が多く存在しています。地域の課題を調査するためには、多くの方との対話が欠かせません。そこを疎かにすることは、真の課題解決にはならず、地域に求められる運動にはならないからです。私たちはまず、多くの方々との対話を通じて地域の課題を調査、研究し、また解決するために、地域の方々を巻き込む運動を行うことが必要です。さらに、その運動が一過性ではなく継続的に行われていく仕組みをつくることで、いつしか文化として定着し、地域社会の発展に繋がるのです。私たち、青年会議所が本気で地域のために考えそれを様々な人と対話していき、多くの方の心が動く運動を行うことで、感動した人々の気持ちと行動が変わっていくのです。それが、次のまちづくりの指針になると確信しています。多くの方との対話から、地域に継続的に求められ、一つの文化になっていくような本気の運動を展開してまいります。

 

5. 本気の広報と会員拡大

三島青年会議所は、地域の社会課題解決のため事業を行ってきた結果、地域の方々に「三島青年会議所」や「JC」という団体があることは知っていただけました。しかし、拡大活動の中で「何をしている団体なんですか?」と多くの入会対象者に質問されます。ビジネスであれば、三島青年会議所が行っている運動、活動は、最も重要な価値ある商品です。そのブランディングができていないことは、拡大活動、事業参加者数や青年会議所自体の信用性に大きく影響していきます。私たちがどんな運動、活動を行っているのか、それが適切に、多くの方に伝わるように、三島青年会議所のブランディング向上をする仕組みを作り、行動していくことが必要です。さらに、単年度制という青年会議所の特徴により、年度毎に広報の仕方が変わることで、情報の分断が起きていると考えます。継続的かつ時代に沿った方法で情報を発信し地域とつながることのできる広報のベースを築くことで、長期的に支持していただける方を増やすことが必要です。三島青年会議所は、拡大活動に力を入れ、静岡県東部で最多となりました。青年経 102 済人が集まる団体として、新たな人脈を求めるとき、人数の多さは大きな強みになります。また、青年会議所の事業に関しても会員の人数が、その規模に直結します。40歳で卒業をする青年会議所は、会員拡大が生命線です。会員の減少は、組織の弱体化を招き、伝統を守ることも困難になってしまい、ひいては、地域社会の損失に繋がるのです。会員の増強は、継続的に力を入れていかなければなりません。さらに、これまでの拡大活動と併行して新たな拡大方法の模索も必要です。地域のため共に活動する同志が増えることで、三島青年会議所の運動が最大化され、地域の未来を明るくしていくのです。多くの方が、私たちの運動に次はどんなことをするのか期待し、心惹かれる、そんな本気の広報と、青年会議所の更なる発展のための会員拡大を展開してまいります。

 

6. 本気の組織運営

組織がその力を最大限に発揮するためには、基礎が安定していなければなりません。それぞれの運動、活動が能動的に行われるために、議論を積み重ねていく、この本気の議論こそ青年会議所の基礎なのです。その基礎が疎かになると、私たちの運動、活動の意味が薄れ、何のために行われているのか、本来の目的を見失ってしまいます。自由に事業構築できるからこそ、理事会や総会におけるルールを厳守しながらも、闊達な意見が出る会議にすることで、私たちの運動、活動が説得力を持つのです。そのためには、それぞれの会議の重要性を理解し、誠意をもって設営することが必要です。また、メンバーのそれぞれが異業種であり、考えや価値観の違いがあることが、青年会議所の強みです。しかし、同時に組織としてのモラルや規律は、しっかりと守らなければなりません。数年前に起きた痛ましい事件を忘れずに、「青年経済人とはかくあるべし」との自覚のもと、行動に責任を持つことが求められています。コンプライアンス意識が一層重視される社会の中で真のリーダーとして、職場、家族、地域から尊敬される人財に私たちがなっていく、それが、ひいては青年会議所のイメージを変えることに繋がり、私たちの運動の広がりに繋がるのです。誠意ある会議の設営を通し、青年会議所の基礎を支え、メンバーが尊敬され地域との信頼を新たに生み出していく活動を展開してまいります。

 

7. 本気の青少年育成事業

子どもたちの、豊かで健全な成長には様々な経験をすることが欠かせません。経験は危険の回避や生きる上で様々な選択肢を増やすことに繋がるからです。それと同時に心に残る感動も重要です。子どもたちの将来の夢には、この感動が大きく関わっています。感動した心はいつしか希望や憧れに変わり子どもたちの行動も変えていくのです。特に、スポーツを通して経験することは多く、勇気や礼節、感謝といった経験は特に重要です。子どもたちに、日常では感じることの無い緊張や、相手と相対するときの恐怖を乗り越える勇気、勝敗を超えて相手を思いやる経験、人として大切な物を学べる機会が必要です。多くの経験ができる運動を通し、子どもたちの心に響く、感動の機会を提供します。現代の子どもたちは、様々なルールや規則、コンプライアンスを守らなければいけなくなりました。本来自由に遊べる公園もルールができ、ボール遊びができる公園も減りました。その他にも、騒音によるクレームで閉園になるケースもあります。ルールの中で生きていくことが求められている一方で、大人になるにつれ、加速度的に変化する現代社会を受け止め、自立することが求められていきます。変化への対応は多くの経験が必要で、それは子どもたち本来の自由さや、奔放な想像から醸成されていくのです。私たちは、子どもたちにのびのびと自由で豊かな経験を積むことのできる環境を提供し、未来の変化を積極的に受け入れ、一人ひとりが自らの人生や暮らしの中で、新しい未来を思い描き、実現していく一助になるための運動を展開します。子どもたちのために本気で作っていく運動が、次の世代に受け継がれていくことを目指してまいります。

 

8. 本気の研修

JC は、長年リーダーの育成に力を入れてきました。リーダーに必要なものは数多くありますが、その人の性格や組織体によって、求められるリーダー像は変わります。研修等で得られるものが、自身の所属している組織が求めるリーダー像と一致するとは限りません。それでもリーダー育成の場として JC が傑出しているのは、様々なリーダー像を体感できることにあります。日々の活動の中で、一つの目標に本気で向かって行く方法を幾通りも体感し、議論していくことで自身の求めるリーダー像が形づくられていくのです。JC だからこそ提供できるリーダー育成と、それぞれに必要なことを模索する機会を提供し、多くのメンバーが自身の求めるリーダー像を理解し、自身の可能性を広げ、能力開発に繋げることが重要です。社会で生きていく人間として、人とのコミュニケーションは人間関係構築の基本であり、多くの場面で欠かせません。言葉は、本気の感情を伝え、人を感動させる力がある一方で、伝え方や声のトーン、タイミングやその人との関係性により、本来伝えたいこととは違う受け取り方をしてしまう等、思いがけないトラブルを引き起こすこともあります。さらに、コミュニケーション不足による問題も多く、特に家族間では、気持ちを伝えられずに不和を生む可能性があります。また、人が集まった組織が目的に向かうとき、組織におけるリーダーのコミュニケーション力無くしては、方向性がわからず足並みが揃わずに動いてしまい、集団としての力を最大限に発揮できなくなります。まずは、自身の考えや思いを正しく伝えることや、人の考えや思いを正しく聞くことを学び、家族、地域、組織等で関わる人との豊かな人間関係を築くため、コミュニケーションの重要性を理解し、正しい活用方法を地域の方々と共に学ぶ 事業を展開してまいります。

 

9. おわりに

私は、2017 年 30 歳での独立を機に三島青年会議所に入会しました。最初は何もわからない状態で、意欲も低く、本気とは程遠い活動をしていました。しかし、尊敬する先輩ができ、その方に機会をいただいたことで、多くのメンバーに、ときに怒られ、ときに励まされ、青年会議所の運動に参加してきました。仕事とは違い、利益ではなく 、純粋に地域や子どもたちのために、ここまで本気になれるのだと、事業や年度の終わりに涙を流す先輩を見て感動したことが忘れられません。青年会議所の運動は、私たちが、どれくらい本気で向き合えるか、いかに「何か」のために動けるのか、その繰り返しなのです。このたび理事長の職を預かるにあたり、65 年の汗と涙が染み込んだバトンは想像以上に重く、受け取る手は緊張と不安で震えます。それでもこのバトンを力いっぱい握りしめ、地域のため、子どもたちのため、メンバーのため、多くの縁をつなぐ絆が未来永劫続くように決意し、地域に若い新しい風を入れ、多くの人を感動させられる運動を本気で創ってまいります。